生前整理とは?遺品整理との違いや効率よく実施するためのコツを紹介
自分が亡くなった後に、使用していたものがどのように整理されるのか心配になるケースがあります。
また、残された家族が自分が残したものを処分する際には、迷惑がかかってしまうかと心配になるものです。
そこで、自分が生きている間にものを整理する、生前整理を実施する場合があります。
では、生前整理とは一体どのような作業となるのでしょうか。
本記事では、生前整理について遺品整理との違いや効率よく実施するためのコツを紹介します。
生前整理とは?
生前整理とは、自分が生きている間に様々なものを整理する行為のことです。
自分が生きている間に使用していたものは、亡くなった後に必ずしも継承されるわけではありません。
中には、不要なものとして処分されるケースがありますが、生前整理しておくことで残された家族に対する負担軽減の意味で生前整理を実施します。
なお、生前整理については法律上で明確な定めはなく、必須となる作業ではありません。
また、細かなルールも存在しないため、自分が思い立ったタイミングで、自分のペースで実施する流れとなります。
遺品整理との違い
遺品整理とは、故人が残したものを遺族などが整理する行為のことです。
一方で、生前整理とは自分が生きている間に、自分が保有しているものなどを整理することを指します。
生前整理や遺品整理は、自分の身の回りのものや財産を整理することに変わりありません。
自分が亡くなった後に他人がおこなうのか、それとも生前の段階で自分でおこなうのかが大きな相違点となるのです。
生前整理で実施する内容
生前整理については、特にルールは存在せず自分が必要と判断した項目を実施する形となります。
一般的に、生前整理では以下のような作業を実施します。
- 所有しているものの仕分けと処分
- 財産目録の作成
- 遺言書の作成
- エンディングノートの作成
各作業の詳細は、以下のとおりです。
所有しているものの仕分けと処分
生前整理においてメインとなる作業が、所有しているものの仕分けと処分です。
仕分けとは、残すべきものと処分すべきものを分類する作業のことです。
今後使用する見込みがあるのかなどの観点で、残すものと処分するものに仕分ける必要があります。
また、断捨離の考え方を取り入れて対応すると、残りの人生を過ごしやすくなるメリットがあります。
仕分けの結果、処分すると判断したものは、主に以下の方法で処分します。
- 自治体のごみ出しルールに従い廃棄
- 不用品回収業者に引き取りを依頼
- リサイクルショップに買取を依頼
- 個人売買で売却
- フリマアプリやネットオークションで売却
- 施設に寄付
上記の中で、可能な限り売却できる方法を採用して、費用をかけずに整理しましょう。
財産目録の作成
生前整理では、相続も見据えた対応が必要となります。
相続を考える際に、現時点で自分がどのような財産を持っているのかを把握することが重要です。
そこで、財産を棚卸しした上で財産目録を作成するとよいでしょう。
財産目録とは、保有している財産を一覧にしたリストのことです。
財産をまとめておくことで、相続人の負担を軽減できる効果があり、相続人同士によるトラブルを防止できます。
財産目録を作成する際には、預貯金などプラスの財産だけでなく負債などのマイナスの財産も記載してください。
遺言書の作成
財産相続以上に、相続を考えた上で対応しておくべきものとして、遺言書があります。
遺言書とは、自分が亡くなった際に保有していた財産の相続先などを、生前に決めておくための書類のことです。
遺言書で明確に相続に関する意思表示をすれば、法的効力があるためそれに従わなければなりません。
もし、遺言書がない場合は遺産分割協議が必要となり、トラブルが発生する可能性が高まります。
財産目録を参考にして、どのように相続するのかを遺言書で明確にしてください。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分自身の情報や想いを書き留めておく書類のことです。
以前は遺言書に様々なことを記載する形が一般的でしたが、より気軽に書き記せるエンディングノートが人気を博しています。
エンディングノートと遺言書の大きな違いとして、エンディングノートには遺言書のように法的効力を持たせられない点があります。
逆に言えば、厳格な決まりがないため自分の想い通りに作成できる点が魅力的です。
エンディングノートの記載する内容としては、以下のような項目が挙げられます。
- 自分の基本情報
- 家族や友人に対する感謝
- 財産や資産について
- 葬儀について
- お墓や埋葬方法について
- 医療や介護に対する希望
- 親しい人の連絡先
エンディングノートの場合、書店などで販売されているほかにも、自治体レベルで配布している場合もあります。
生前整理のメリット
生前整理をおこなうことにより、主に以下のようなメリットがあります。
- 亡くなった後に残された家族に対する負担を軽減できる
- 相続トラブルを回避できる
- 生活環境を整えられる
各メリットの詳細は、以下のとおりです。
亡くなった後に残された家族に対する負担を軽減できる
生前整理をおこなうことによる最大のメリットは、自分が亡くなった後に実施される遺品整理の負担を減らせる点が挙げられます。
遺品整理は、故人が亡くなったことによる悲しみが残った状態で作業しなければなりません。
また、各種手続きに追われる中で作業するのはとても大変です。
そこで、生前整理としてものを整理しておくことで、残された家族に対して迷惑をかけなくて済むのです。
ほかにも、自分が残しておきたいものを確実に残してもらえる可能性が高いメリットもあります。
相続トラブルを回避できる
生前整理で財産目録を作成したり、遺言書を作成したりすれば、相続トラブルを回避できるメリットがあります。
財産目録においてマイナスの財産がある場合、相続の限定承認を選択できるため、残された家族に迷惑を掛けずに相続できる可能性があります。
また、故人が明確に遺言書で意思表示すれば、それに従わなければならないため、トラブルを回避できる点も魅力的です。
生活環境を整えられる
生前整理でものを処分すると、部屋がすっきりして生活を送りやすくなります。
高齢になると、導線を広く確保しないと躓いて怪我をするケースがありますが、部屋がすっきりすれば躓くリスクを回避可能です。
また、断捨離すれば無駄なものを購入しなくなり出費が減ったり人間関係がスムーズになったりするメリットもあります。
生前整理のデメリット
生前整理をおこなうことによるメリットが多いものの、デメリットも少なからず存在します。
主なデメリットとして、以下を考慮してください。
- 時間と労力がかかる
- 必要なものまで処分してしまう可能性がある
各デメリットについて、解説します。
時間と労力がかかる
実際に生前整理をおこなうと、想像以上に時間がかかります。
1人ですべての生前整理に対応しようとするとなおさらであり、数ヶ月にわたって対応しなければならないケースもあります。
特に、ものを一つ一つ思い出に浸りながら生前整理すると、時間ばかり取られてしまいがちです。
また、大きな家具などを処分しようとした場合、労力もかかるためまだ若く体力があるうちに対応しなければなりません。
必要なものまで処分してしまう可能性がある
生前整理では、断捨離の精神で大胆に処分してしまう傾向にあります。
ただし、その場の勢いで作業すると必要なものまで処分してしまう可能性があるのです。
また、自分は不要と判断してもほかの家族が残して欲しいものまで勝手に処分してしまい、トラブルに発展する事例も多いため注意が必要です。
生前整理を効率よく進めるためのコツ
生前整理は時間がかかる作業となるため、効率よく進めたいものです。
そこで、以下のようなコツを掴んで進めましょう。
- 体力や判断力があるうちに作業する
- 家族に協力を得て作業する
- 専門家に相談する
各コツについて、詳しく解説します。
体力や判断力があるうちに作業する
生前整理では、重いものを運ぶ作業が付きものであり、体力を消費してしまいます。
そこで、体力や気力があるうちに始めるのがおすすめです。
また、残すものと残さないものの仕分けや、どのように相続するのかを決める際には、判断力が必要です。
高齢になると、徐々に判断力も低下する傾向にあるため、その意味でも若いうちから作業を始める必要があります。
家族に協力を得て作業する
生前整理を効率よくおこなうためには、協力を受ける存在が必要です。
特に、身近な家族の協力を得ることで、重い荷物を運ぶ際も安全に作業できるメリットがあります。
また、家族と一緒に仕分けることで家族が残して欲しいものを勝手に処分することを防止できます。
専門家に相談する
遺言書を作成する場合、法律に従い正しく作成しないと法的効力を持たせられません。
遺言書には以下3つの種類がありますが、それぞれに作成方法が異なります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
どのように作成するのか悩む場合は、専門家に相談すると間違いなく正しい遺言書を作成できます。
また、ものを整理する場合にも生前整理業者や整理収納アドバイザーなどに相談すれば、悩まず効率よく作業を進められるのでおすすめです。
まとめ
生前整理は、必ずおこなわなければならないものではありません。
ただし、残された家族に迷惑を掛けないためにも、生前整理を進めておくのがおすすめです。
初めて生前整理する際には、何かと悩むことが多いものです。
もし、生前整理でお悩みの方は専門家へ相談することをおすすめします。
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